物語はその日のうちに

人間が人間として自然に生きることを考えています

アウシュヴィッツ=ビルケナウ

   ビルケナウは広かった。あまりにも広かった。果てしなかった。こんなに開けた空と平地は、未だかつて見たことがなかった。やけに殺風景だけど、平穏で静かな場所だった。太陽が熱かった。

  ホロコーストは、幼い私の中で生まれたモンスターのようなもので、細胞分裂を繰り返して成長しつづけていた。どこまで大きくなるのか自分にも分からないまま、無理やり心の中に閉じ込めていた。

  それを解放して、本来の居場所に返してこれたような気がする。これからは、自分とは切り離された場所で生かしておける。もう私がしなきゃいけないことはない。どうなっても構わない。

  これから何百年、何千年、何万年と経って、資料も残骸も人間の記憶も全部が消えてしまったとしても、なくならないものは確かにあると思った。

 

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ポーランド旅行記 1)