物語はその日のうちに

人間が人間として自然に生きることを考えています

映画『リトル・ダンサー』を観た。原題がビリーエリオットなの知らなくて、え、あのビリーエリオット!?と驚く。

といってもビリーエリオットに思い入れがあるわけではないし、観たことがあるわけでもない。でも忘れられない思い出がある。

8年くらい前に友達とニューヨークを旅行した時、2人ともミュージカル好きだったのでブロードウェイは外せなかった。チケットの買い方もよく分からないまま街に繰り出すと、ダフ屋なのか、単に売れ残ったチケットを売り切りたい劇場スタッフなのか知らんが、「○○のチケットあるよーー!!!!○○だよ!!」とシャウトしてる人たちがいた。

その中のおばさんの1人が、"BILLY ELLIOT!! BILLY ELLIOT!!"と、「ビリーエリオット」という単語だけをひたすら繰り返していたのだ。当時の私はビリーエリオットを知らなかったので、そういう公演があるんだなぁ~と聞き流したつもりだったけど、男性がヒャッフーみたいになってるポスターと「ビリーエリオット」という固有名詞が、一瞬で頭に焼き付いてしまった。おばさんの"BILLY ELLIOT!!"の声も、やる気がないのにやたら通るので、その場を通り過ぎてからもずっと後ろで聞こえていた。自然にフェードアウトされると、何だか妙な哀しみが残った。誰なんだろうビリーエリオット。人気なくてチケット売れ残ってるのかなぁ……

と、今日まで私の中で「ビリーエリオット」といえばあのニューヨーク旅行だったけど、『リトル・ダンサー』を観たので、イメージがちゃんと膨らんでリニューアルされた。でもやっぱり、「ビリーエリオット」と「リトルダンサー」はイコールにはならないな。どこか違ったまま生き続ける。