物語はその日のうちに

人間が人間として自然に生きることを考えています

料理について

料理は楽しい。料理が好きだ。どうやら私はそうらしい。

昨年まで、4年くらいずっと1人で自炊生活だったけど、自分1人のために頑張る気は起きず、料理というより「火を通す」「塩味をつける」みたいな単純調理ばかりで、食材の味を感じておしまい、って感じだった。栄養とれればザッツオール。一応、調味料だけはこだわって無添加のものを使い続けていたし、レトルトや冷凍食品や「○○の素」みたいのは好きじゃなかったのでほとんど使ってなかったけど、その程度だった。

それが今年に入り、彼と一緒に住み始めたので、食べてくれる人が現れた。ついに私も「あー今夜の夕飯どうしようかなー面倒だなー」という日々になるかと覚悟してたんだけど、そんなことはなかった(今のところ)。朝食は各自だし、私自身が夕飯を食べない日は作らなくていいということになってるので、そこが楽なのも1つ。そしてそれよりやっぱり料理が楽しい。気持ちいい。仕事で疲れた帰り道は、適当にお惣菜買っちゃおうかとか外食しちゃおうかとか頭をよぎるけど、自分で食べたいものを作って食べたいという気持ちが勝つ。そして目標時間内に出来上がって食べている時の幸福。まだしばらく続けられそうだ。

 

レシピ通りに何かを作ったことはない。これまで食べてきたものや作ってきたものの記憶と、眺めてきたレシピの記憶を混ぜ合わせて、その日に食べたいものを思い浮かべて、材料と手順を想像して、やってみる。それだけで結構美味しいものができる。

料理に関して参考にしている思想としては、前に「徹子の部屋」に出ていた鈴木杏樹が話していたこと:「旦那さんが料理好きで私にまず教えてくれた。鍋にお湯をわかして、そこに砂糖を少しずつ入れて味を見る。次に塩を少しずつ入れてまた味を見る。それでだんだん味覚が育ってくる。」そんな感じのこと。それが今も忘れられない。料理するたびに、それくらい感覚を研ぎ澄ませると、同じ材料と行程でも二度と同じ味は生まれないことが分かるし、レパートリーは無限大になる。

あといつも本棚にあって心の中に留めているのが、土井善晴『おいしいもののまわり』と、有元葉子『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』の2冊。土井先生の『一汁一菜』も好きだけど、『おいしいもののまわり』の方がより根源的な「食」と「料理」への想いが詰まっていると思う。美味しいって何か。料理って何をすることか。そういう大事なことを教えてくれるので大好きな2人。

そしてたまに、農耕や狩猟で生きてる人たちのことも考える。突然自分がそういう生活になった時にも、同じように料理して、同じように美味しいと感じられる身体でありたい。この「同じ」は何が同じなのか。そういうことも考えながら生活している。

 

で、美味しい美味しいって食べてくれる人がいるから、これも作りたいあれも作りたい、となってスーパーに行くのも楽しい。あ、田舎町から都会に引っ越したのでスーパーの利便性とクオリティーが格段に上がったというのも大きな要因かも。食材が山ほどあるのでイマジネーションが尽きない。そして1人で自炊してた私は食費をケチりすぎていたことにも気づいた。夕食1食分200〜300円予算上げるだけで爆発的に作れるものが増えるのね。

 

というわけで、何年後かに「いやー最初はあんなこと言ってたわー」となるかもしれないけど、とりあえず今のところは料理大好き人間。